And Also The Treesの記念すべきDebut Single. 7"のみのリリース。この曲は、Simonが墓地を散歩してい
た時に、ふと目にとまった真新しい幼い少女の墓前に供えられていたCardにInspireされて作ったものだ
そうだ。その日はとても心地よい夏の日だったそうで、それを見ることができない彼女を哀れに思ったが
、とその瞬間、墓の回りの木々が溜息をつくが如くさざめいたそうだ。その時彼は彼女の存在を感じたそ
うだ。全然レビューになっていないが、スローテンポ゚の、歌詞が素晴らしい曲。DemoではJustinが一人で
歌っているものもあったが、それはそれでまた雰囲気が違っていて楽しめた。リリースされた曲でもBack
Vo.で歌っている。B面の'Wallpaper Dying'はThe Cureの影響が多分にうかがえる曲。
The Secret Sea(7": RE 3, 12": 12 RE 6)released 1984
<7" Sleeve><12" Sleeve>
7"のB面の'Secrecy'は7"のみの収録だが、早い話、'Secret Sea'のInstrumental
Dub Versionといったところ
である。'The Secret Sea'は日本盤1st. Album(LP)及び仏盤'et aussi les arbres'(LP),
'From Horizon To
Horizon'(CD)に収録されている。12"の'The Secret Sea'はExtend Version. 中間にドラムソロが入っている
が、正直言って、このExtend Versionはやらなくてもよかったんじゃないか、と思う。B面には'84年3月
30日にStafford Collegeで収録されたLive3曲が入っている。Liveはなかなか上出来である。
A Room Lives In Lucy(12 RE 8)released 1986
12"のみのリリース。AATTの初期を代表する曲と言ってもいいだろう。にも関わらずA、B面の曲ともに、
Albumに収録されなかったのが不思議である。 この曲が作られる直前、Simonはバンドでやるべき事は
やり尽くしたと感じ、バンドの解散を考えていたそうである。そんな折にブリストルに住む少女から25ペー
ジもの手紙がSimonに送られてきて、そこにはどれだけ彼らの音楽が彼女の人生において重要な部分
を占めているかが綴られていたそうである。彼女にとって、事物は彼女の心の傷となるものであった。ま
た彼女はイエス・キリストについても多く言及していたという。この曲は彼女の手紙にInspireされて作ら
れた作品。初期の作品の中でも特筆すべき傑作ともいえる。B面の'There Was A
Man of Double Deed'
は韻を踏んだ、Jones兄弟が祖母から聞かされていた話がもととなっている。'Scarlet
Arch'は名曲!!
The House of the Heart(RE 14/12 RE 14)released 1988
<7" Sleeve><12" Sleeve><CD sinlge Sleeve>
この曲がBestだという人も多いと思う。ViolinやTrumpetをfeatureしたSoundは透明感と奥行きを感じさせ
る。 彼らの作る曲の素晴らしい点は、Lyricsから想起される、その幻想に満ち溢れた情景にあると改め
て思わせる。また、Eugene Atgetの作品を彷彿とさせるcoverもまた秀逸である。
B面の曲では、やはり'Anchor Yard'だろう。一言で言ってしまえば、鯖の腹裂き唄なのだが、スローテン
ポながら、震えるようなGuitarの旋律と、語り部のようなSimonのVo.が絶妙のハーモニーを見せる曲であ
る。'Count Jefferey'はAATTの持ち味が最大限に引き出された曲。ただ、聴くタイミングを間違えるとうな
されてしまうかも知れないが。
Lady D'Arbanville(RE 15/12 RE 15/CD RE 15)released 1989
Cat Stevensのoriginalはミドルテンポの仄かに哀愁漂う曲だが、AATTのこのcoverは重厚で悲壮感に満
ち溢れた曲となっている。Simonの切々と歌い上げるVo.がそれとmatchして、見事にAATTのsoundとして
染め上げてしまう所は見事である。とは言え、B面のoriginal曲を聴くと、やはり本質的な違いを感じてし
まう。'The Harp'は映画のSoundtrackに影響を受けたと思われるインストであるが、これにVo.が加わると
どんな感じになるのだろう、と想像力をかき立てられる。'The Street Organ'は'Farewell
To The Shade'にも
収録されている名曲。また、同タイトル曲のプロモビデオが"Live 89-98"のVideoにも収録されているので
、ご覧頂きたい。
Misfortunes(RE 16)released 1989
7"のみのリリース。この曲もとても気に入っている。IntroのGuitarの美しさは、格別のものがある。'The
House of the Heart'も大分聴きやすくなった印象を受けたが、この'Misfortunes'もそうした意味では、とて
も聴きやすくなっている。個人的には、このタイトル曲に仄かに漂う悲壮感とメランコリックな一面を覗か
せるその曲調に心を動かされる。A、B面ともに'Farewell To The shade'に収録されている。
The Pear Tree(Troy 003S)released 1989
12"のみのリリース。タイトル曲をThe CureのRobert Smithがproduceしているが、この時点ではAATTも独
自のオリジナリティを確立しているせいか、The Cureに染められてしまっている、という印象はない。'The
Pear Tree'は'From Horizon To Horizon', 'Farewell To The Shade'(Troy Label
:Round Mix)にも同曲が収録
されているが、この12"versionはそれらとはまた違ったRemix.(Sweet Re-Mix)中でもpianoの美しさが一番
際立つMixじゃないかと思う。ちなみにKeyboardはMark Tibenhamである。B面はすべてLive.割と、静か
な曲調である。
Nailed(AATT CD 1:self-released)released 1998
'Nailed'を含む、全7曲収録のCD-Single、というよりはMini-Albumといった感がある。Album未収録の'The
Great Alone'はJazz色の強い曲。'Highway 4287'はIntroがえらく長いが、なかなかcoolなarrangeである。
'The Obvious'はLyricを読むと、短編小説の一部のような印象を受ける。やっぱりSimonは文学青年だな
、と思ってしまう。Live2曲の音質はかなり良い。こちらに収録されている、'Ill
Omen'はこれまでのものと
は違うArrange。こちらのタイトル曲も前述の'Lady D'Arbanville'同様、'Live
89-98'Videoにプロモビデオが
収録されている。
<Album>
And Also The Trees
The CureのLaurence Tolhurstによるプロデュース。不可避的にThe Cureを思わせる部分があちこちに見
られる。'Think About AATT'にも書いたが、The Cureよりはむしろstoicな印象を与える。Tolhurstの
produceのお陰で確かに耳当たりは良いのだが、あまりにもきれいに収まりすぎている印象はある。2nd
を聴いてから、1st.を聴くとわかるのだが、大分AATTとしてのカラーを抑えている感がある。また、'So
This Is Silence'と'The Tease The Tear'が同じようなarrangeで、曲調も似てしまっているのが、とても気に
なる。個人的には'Shrine'が好きだ。
AATTのロマンシズムがますます円熟味を増した作品。2nd Albumよりはやや軽くなり、聴きやすくなった
ような印象を与える。この3rd. Albumでは、様々な楽器を取り入れることを試みている。(例えば、ハープ
シコードや尺八など)'Simple Tom and the Ghost〜'はこの作品を象徴すると思わせるほどの出来ばえで
あり、本当に名曲である。全体にClassicの影響を強く感じさせる。ただ惜しむらくは、後半はそれぞれ曲
はとてもいい曲なのだが、曲のイメージがやや統一性を欠いた感がある。
Normal移籍後第1弾のAlbum。いきなりのホーンセッションではじまる'Red Valentino'はFarewell
To The
Shade路線を期待していたfanが失望しそうな感じではあるが、基本的にはそう変わってはいない。'The
Fruit Room'はAATT本来の美しい曲調を保っているし、'Blind Opera'はあたかも神との対話を思わせる
Lyricsで、Simonの歌い回しが朗読的なものではなく、ちゃんと旋律にのせて歌われているものが多くな
った。また全体的にSimonのVo.の魅力が最大限に引き出された、佳作であると感じさせる。
' Tremendous Risk of Mr. Federico'はAATTの数あるインストの中でも好きな曲である。関係ないが、
'Federico'と聞いて、Federico Garcia Lorcaを思い出してしまった。
いきなり都会的な印象となった作品である。推測だが、この辺りからアメリカ進出を意識したんだろうか
、と思わせるような構成である。当初このAlbumはMezentianからリリース予定(1996)だったが、どうも
Promotionの関係で問題があったらしく、結局はself-release(1998)となった。(詳細はArticleのSideline
No.24を参照してください)'Fighting In A Lighthouse'をはじめ、とてもPopな曲調のものが多くなった。'The
Next Fright To Rome'など、アダルトコンテンポラリー的インストなど新しい試みがなされている。個人的
にはスローテンポの'Sea Chage'が好きである。さて、NYにやってきた文学青年は次にそこに何を見出
すんでしょうか?
Silver Soul(AATT-CD3)released 1998
いきなり、かきむしる様なGuitarで始まる、'Nailed'。'Think About AATT'にも書いたが、はっきり言って、
'Blue Runner'はいらない。一方、'Get Critical'はなかなか格好いい曲である。ところで、この曲、Lyricは
'The Critical Distance'と途中まで同じものである。すなわち、'The Critical Distance'における、新しい解釈
を見出したとみるべきか、もしくはSimonの内なる変化が如実に作品に反映されたと見るべきなのか。
'Angelfish'同様、映画のSoundtrackの影響を強く感じる作品である。然し、初期のSoundにおける、叙情性
をこのAlbumに求めるのは困難である。
できることなら、今までの先入観や既成概念を捨てて、聴いていただきたい。